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「酒井忠世と土井利勝」 主に徳川秀忠を支えた幕政の主要な年寄、土井利勝と酒井忠世に焦点を当てた人物史的研究。両名の出生・家系・性格・政治的才能を整理し、秀忠政権の中枢における役割を人物中心の視点から明らかにしている。
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「藩からみた近世初期の幕藩関係」 近世初期(1600年頃~1660年頃)の幕府と藩の関係を、藩側(特に萩藩毛利氏)の視点から分析。将軍と大名の仲介者である「取次」と大名側の渉外担当「聞次」の存在が重要であり、毛利氏は井伊直政や本多正信・正純、後に土井利勝・松平信綱を取次として利用した。1634・1635年の幕府申渡しにより取次の機能は老中月番制に移行し、交渉のルーティン化が進んだ。また、「外聞」を重視する政治意識が近世幕藩関係の特徴であることも示される。
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「秀忠大御所時代の「上意」と年寄制」 徳川秀忠が大御所となった時期における幕政権力の構造と意思伝達の仕組みを分析した研究。特に、権力の中枢に位置した人物たちが誰であったか、また秀忠の「意思」がどのように幕府内外に伝達されたかを詳細に記述している。幕藩体制の初期における政治権力の運用と情報伝達の仕組みを理解する上で有用な資料である。